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今こそ新美南吉!知らざれる新美南吉の魅力

 皆さんは、新美南吉を知っているでしょうか?愛知県では、小学校4年時に『ごんぎつね』を習うことが多いので、結構メジャーな作家ですが、全国では、どうでしょうか。一般に『ごん狐』『手袋を買いに』『デンデンムシノカナシミ』といった作品が有名でしょうか。 

新美南吉×黒井健

ごんぎつね (日本の童話名作選)

ごんぎつね (日本の童話名作選)

 
手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)

手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)

 

  地元では、「東の宮澤賢治」に対して「西の新美南吉」といったフレーズを聞いたことがありますが、そう聞くと「ちょっと格が…」と思う方も多いのではないでしょうか。それもそのはず、宮澤賢治と新美南吉は、ジャンルが違います。宮澤賢治を「右の本格派」とすると、新美南吉は、「左の魔球派」です。

 

『ごんぎつね』は、異質。
 この新美南吉を代表するこの作品は、どちらかというと新美南吉らしくありません
新美南吉作品群の中で、異質な存在です。特に『ごんぎつね』は、作品プロット自体が地元の伝承話であり、さらに、そこに鈴木三重吉の手が大きく加わったことで、新美南吉の個性を感じるのには、物足りない作品です。あの時代は、『ごんぎつね』や『手ぶくろを買いに』で扱われたテーマしか受けいれられなかったのかもしれません。児童文学は、こうあるべきといった固定観念が新美南吉を激しく制限してしまいましたが、
今の時代は、違います。やっと時代が新美南吉に追いつきました。新美南吉先生、良かったですね。

別冊太陽210 新美南吉 (別冊太陽 日本のこころ 210)

新美南吉(1913年-1943)
愛知県半田市出身。日本の児童文学作家。
結核により29歳で亡くなる。

 

今こそ、受け入れられるだろう「新美南吉」作品群
・『がちょうのたんじょうび』
「新美南吉の最大の魅力=シュールさ」が発揮されています。新美南吉作品の中で一番好きなお話です。

がちょうのたんじょうび (新美南吉童話傑作選)

がちょうのたんじょうび (新美南吉童話傑作選)

 

 ・『二ひきの蛙』
終わり方の、ジャッキー・チェン映画に通じるぶった斬り感が魅力。

二ひきの蛙

二ひきの蛙

 

 ・『飴だま』
1017文字の時代劇ショート・ショート。

『新美南吉全集・116作品⇒1冊』

『新美南吉全集・116作品⇒1冊』

 

 
がちょうの たんじょうび

 ある おひゃくしょうやの うらにわに あひるや、がちょうや、もるもっとや、うさぎや、いたちなどが すんで おりました。
 さて、ある ひの こと がちょうの たんじょうびと いうので、みんなは がちょうの ところへ ごちそうに まねかれて いきました。
 これで、いたちさえ よんで くれば、みんな おきゃくが そろう わけですが、さて、いたちは どう しましょう。
 みんなは いたちは けっして わるものでは ない ことを しって おりました。けれど、いたちには たった ひとつ、よく ない くせが ありました。それは おおぜいの まえでは、いう ことが できないような くせで ありました。なにかと もうしますと、ほかでも ありません、おおきな はげしい おならを する ことで あります。
 しかし、いたちだけを よばないと いたちは きっと おこるに ちがい ありません。
 そこで、うさぎが いたちの ところへ つかいに やって いきました。
「きょうは がちょうさんの たんじょうびですから おでかけ ください」
「あ、そうですか」
「ところで、いたちさん、ひとつ おねがいが あるのですが」
「なんですか」
「あの、すみませんが、きょうだけは おならを しないで ください」
 いたちは はずかしくて、かおを まっかに しました。そして、
「ええ、けっして しません」
と こたえました。
 そこで いたちは やって いきました。
 いろいろな ごちそうが でました。おからや、にんじんの しっぽや、うりの かわや、おぞうすいや。
 みんなは たらふく たべました。いたちも ごちそうに なりました。
 みんなは いい ぐあいだと おもって いました。いたちが おならを しなかったからで あります。
 しかし、とうとう、たいへんな ことが おこりました。いたちが とつぜん ひっくりかえって、きぜつして しまったのです。
 さあ、たいへん。さっそく、もるもっとの おいしゃが、いたちの ぽんぽこに ふくれた おなかを しんさつしました。
「みなさん」と もるもっとは、しんぱいそうに して いる みんなの かおを みまわして いいました。「これは、いたちさんが、おならを したいのを あまり がまんして いたので こんな ことに なったのです。これを なおすには、いたちさんに おもいきり おならを させるより しかたは ありません」
 やれやれ。みんなの ものは ためいきを して かおを みあわせました。そして やっぱり いたちは よぶんじゃ なかったと おもいました。